| あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 | は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
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悪くはなくむしろ面白いのだが、しかし少々プロの技が鼻についてきた。そろそろ僕にとっては潮どきなのでしょう。 まず一つには(オッサンの偏見ですが)ハーレクイン臭が強くなって来たのが辛い。もちろん例外も有りましょうが10代の少年が惹かれるほどの 50歳前後の美脚の持ち主ってどれだけリアリティが有るのかと?また出てくる男のキャラクターが女性読者にとって魅力的か日常的に周囲にいて ウンザリさせられるアイツに似ているかの二極化が進んでいるのも気になります。この先どうなるのよ、と。 また作中で語られる枝葉のエピソードが実は肉付けだけではなく次回作への布石ともなっているのは上手いのですが、繰り返されているうちに 読めてしまい興ざめしてしまいます。この辺りで乗れる読者は付いて行くのでしょうが…僕は降りようかと。 |
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学生時代に『輝ける闇』と『夏の闇』を続けて読んでかなり打ちのめされました。当時受けた衝撃が強過ぎたのか
今となっては筋立ての類はほとんど忘れているのですが…僕が忘れっぽいだけか。 本書を読んでその時の衝撃を思い出しました。短編集の所為か僕が鈍くなったのか当時ほどガツンと来ませんでしたが。 作者としては長編2作だけでは削ぎ落とせなかった硝煙の臭いを取る為の作品群なのではないかしらん?と愚考。 それにしても文章にコクが有ること。ロートレックの料理本に触れた文章でイナゴの網焼きが出て来るのですが、姿そのままの 食べ物が苦手な僕が食べてみたくなったもんなぁ。実物を見たらダメでしょうけど。 |
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宙ぶらりんで不安定なインしようがスッキリしない…というヒトも有るだろうが、僕としては
心地良かった。心地良いと言うよりは魅力的に感じた、とでも言うべきか? 推理小説としての「逃げる犯人と追う捜査官」という図式には当てはまるのだが、「動機の追及と 解明」やら「論理的な推理」というモノを期待するとハシゴを外されます。お手軽サスペンスに 改悪しようとしたら相当な部分がカットされる筈ですが、そのカットされるであろう箇所こそが 作者の書きたかった部分だろうし、面白さになっているかと思います。 ただ残念なのはエピローグが無いこと。 この事件(というか出来事)の後に、残された彼らがどう変ったか?が有ってこその、構成ではないかと 思うのです。こんな言い方は抽象的ですが。 |
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聞き書きを羅列しただけなので読み辛い。また父親と違い成功者としての発言だけに、やや大言壮語にも嫌味な感じが
なくもない…こんなコトを言うと僻みっぽいですが。 ただ幾多の修羅場を乗り越えてきただけあって、発言には重いモノが有ります。もっとも交渉は気合だ…なんて言われても 惰弱な僕は参考に出来ないのですが。 今回再読してみて面白かったのはむしろ付録の「勝海舟伝」の方でした。 例えば彼が江戸無血開城に奔走した背景に“幕府は公であるが、大政奉還をした徳川は私である。故にその後の戦闘は 私闘である。私闘に市民を巻き込んではならない”なんて思想を持っていたとは思いもしませんでした。学生時代に この辺りを読んでいたら歴史観もまた違っていたでしょうに、と残念。 ※画像は勝海舟自筆の「咸臨丸」(部分) |
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【関連作品】 『夢酔独言−勝小吉自伝−』勝小吉 |
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江戸っ子の言葉遣い(現代語訳とは言え)が心地良く一気に読んだ。 とにかく不良人生そのもので、冒頭で“おれほどの馬鹿な者は世の中にもあんまりあるめえと思う。だから、 孫や曾孫のために、話して聞かせるが、よくよく「不法者」「馬鹿者」の戒めにするがいいぜ”なんて言ってますが、回想していくうちに 楽しくなってしまった気配が濃厚です。反省なんかして無いでしょ?と聞きたくなる感じ。 坂口安吾がその精神性の高さを絶賛し、訳者に言わせると無頼に生きざるを得ない時代の閉塞感などが感じられるそうですが、僕には残念ながら ソコまで深く読み込めませんでした。残念、人生経験を積んで爺になったら読み返そうかと思います。 ※画像は勝小吉自筆の「気心は謹慎」(部分) |
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【関連作品】 『氷川清話付・勝海舟伝』勝海舟 『父子鷹』子母沢寛:ほとんど勝小吉伝ですが、ほとんど創作なんじゃないかしらん? |
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| 言っちゃなんだが編集の仕方が寄せ集め。執筆期間が広範囲にわたり文体も変化しているので、せめて表題の次に執筆時期を付けて欲しかった。 | ||
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印象的な作品集。なんともいえない語り口で魔術にかけられている気分になります。読んでいて映像が
浮かんでくる…というのもそうですが、むしろ言葉の力を感じました。確かに20代でこんな完成度の高い作品を
連発したら“恐るべき子どもたち”ですわな。 ただ個人的には「大人」になってから作品『感謝祭のお客』が円熟味を感じさせて魅力的だな、と。 |
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高校時代にウォンボーの『オニオンフィールドの殺人』に衝撃を受けたのですが、その際に同ジャンルだと言うので本書を読みました
…しかしイマイチ。どうして評価が高いのか当時の僕には判りませんでした。 そして先日、本書を原作とした映画を観たので改めて再読してみたのですが、少なくとも僕にはやはりイマイチでした。 時々冴えた描写の有るのですが、ナンだか冗漫な感じがして退屈、引用が無駄に長い気もしました。 映画の方が内容の取捨選択がよりハッキリとしていて主題が伝わってきたように思います(物語の構成は原作の通りなのでその辺りは 評価しますが、でもなぁ)。 |
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【関連作品】 『冷血』監督リチャード・ブルックス1967年/アメリカ |
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最初は西原氏の漫画部分を立ち読みしていたのだが、通読しているうちに鴨志田氏の本文に
魅せられていました。いや面白いです。 内容もですが、観察者としての視点ではなく中に入り込んだ人間の体験談なのが他とは違う 要因かと。もっとも現地リポート、ではなく回想録に近いという執筆の時間差も有るのでしょうが。 本人そのつもりは無いのでしょうが泣ける話も有り、中にはそのまま映像が浮かんでくるものも ありました。 ご冥福をお祈りします。 |
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脇役のチョイとしたエピソードや主人公の語り口は魅力的で楽しく読めた。 ただ少し軽いような気もしなくもないが。別に深刻ぶるのが好きな訳ではないのですがね、本作はチョイと。 ところで訳者あとがきの冒頭に「どうです、驚いたでしょう?」と有るが、ナニに?という感じ。真相と言われてもなぁ…残酷に言えば 平凡というかやや及第点を下回っている気がするんですけどね。 |
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現代版オオカミ少年の物語と言うと紹介としては適切かしらん。 面白いのだが…ちょっと微妙でもある。もう少し削った方が、またはもう少しネタを詰め込んでもとも細かく書き込んでもと アレコレ思うがどうなんだろう。まぁ執筆当時の読者の趣味が現在のそれと合致しているとは限らないので不当な評価かもしれないが。 個人的には時代考証なんぞをしっかりしてドラマか映画にしたらきっちりハマりそうかと思います。既にしてるかも知れませんが。 |
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冒頭から惹き込まれ、怒涛のラストも好みなのですが…途中がなぁ。 気になって読み進めはするのですが食い足りない。もっとオドロオドロシイ演出が欲しかったし、回想シーンなどで枝葉を付けて欲しかったかなと。 特に後半に至っては端折らされたように展開が速くなるように思えるのですが、作者としては満足なのかしらん? まぁ満足したらオシマイという考え方からすると愚問でしょうが。 |
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確かに面白いのでなるほど当時は一世を風靡した訳だとは思うが、死後に読まれなくなったと言うのも判る気がした。 話は面白いのだがナンとはなしに文章を読む楽しさに欠けている…と言うと偉そうだが。いやつまらなくは無いんですよ、でもねぇ。 |
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冒頭でスルリとコチラの気を引くとそのまま作者のペースに飲み込まれ、見事なサゲまで一息に進みます。そうは言ってもペースは実に
ゆったりとしていて急かされる訳では有りません。 展開もまた大袈裟ではないモノの仕掛けに満ちていて、あらっと意外な進行方向に驚きます。そういう意味では表題作の書きだしも見事ですが、 「静謐」が素晴らしい。祖母が孫に話を聞かせるというのが主な場面なのですが、昔話を聞くのに不安と興味が半々だった子供の頃と同じ気分に なって行きます。内容は大人向けなんですけどね、最後に上手く暗幕を開けますが。 |
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アメリカでも屈指の殺人鬼の自伝です。 一言で言うと見事なまでの鬼畜野郎で死刑が一回なんて足りないどころではありません。楽に死なせて良いのかよ?と。 猟奇的な犯行の詳細は端折ってありますが、それでも吐き気がするコト請け合いです…まぁ一般的には。 読み始めはウンザリとする酷い話に過ぎないのですが、困ったコトに中盤以降面白くなり始めます…僕にとっては、ですが。 更に言うと逮捕前から死刑確定まではワクワクしたくらいです(露悪的でしょうがホントの話なんだよなぁ)。 読後の収穫としては僕にとっての爆笑コメディ映画『ありふれた事件』や『おれの中の殺人者』の人物描写が如何に 真実味が有ったかと再認識出来たコトが有ります。更に言うとエルロイへの違和感の理由も見付かった気がします。 なんだかんだ言って“そういうヤツ”って居るんだなぁ。 “人権派”と自称されている高潔な諸兄はコレを読んでも死刑反対なんて言えますかねぇ。まぁハナから読まないか、 読んでも狂信的な輩なら反対するでしょうね。 人格を疑われそうですが面白かったですね、まぁ“こういうヤツ”も居るってコトで。 |
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【関連作品】 『おれの中の殺人者』 |
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全体としてレトロな雰囲気で、悪くは無いんですが「たまにはね」という程度でしょうか。気分転換にはなりましたがもっとドロドロしたのが好きな僕には
やや品が良過ぎるかなと。もちろん良いんですけどね。 実際にシリーズ化されてはいるのですが、なんとなくシリーズの途中っぽいのが少し残念でした。 |
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古き良き時代の名作映画を観たような感じ、というのが最初の読後感です。もちろん好感を持っての感想です。 作者の満足の為に読者に嫌悪感を強いるような悪役も出ず、下品と紙一重(時に行き過ぎが多い)の描写も有りません。 まぁこの辺りは執筆が1952年という時代も有るかと思われますが。 また本作の売りの一つであろう「密室トリック」も所謂本格派の愛好家には反則気味でしょうが、逆にリアルで作品 全体から浮いておらず妥当に思われます。 時にユーモアに満ちた早い場面展開は現代の読者にも合うでしょう。 ただ第二次大戦についての予備知識がないと少々掴み難い点が有るかと思います…って僕もですがね。 技巧に傾斜しきっていたり過激さに走り過ぎた昨今の作品に疲れた方にはお薦めの作品です。 |
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誰もが名前を知っている文豪から少なくとも僕には未知の作家まで、ミステリと狭い範囲に区分けするのが適当では無さそうな作品から
パロディのようなジョークのようなものまで、玉石混交です。いや傑作選の筈なんですけどね、時代が変われば仕方が無い。 なにしろ70編も収録されているので面白かったものを列記すると纏まりが無くなってしまいますから、その逆を。 撰者のクイーンは自らの作品も含めていますが、僕としてはコレが余計でした。書き出しからスカしていて最後まで退屈、ラストはなんだかなぁと まことに残念。載せるのも勇気ですが、載せない勇気が欲しかった。 |
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正直言って最近のダラけた読書経験では少々読み辛い作品だった。読後の反省としては、もう少しまじめに、少なくとも
正面から向き合うべきだった。そうすれば更に印象的だったのに…併読した作品が有るのもイカンのだな。 全てを現在形で語る読み辛さや状況説明の少なさから、妙に座りの悪さを感じるのだがソレこそが全体の不安感を表して おり、特に最後のザワザワと迫ってくる恐怖がリアルに感じられる。ラストにおいてタイトルの意味が強烈に身に迫り まるで自分がその場にいるような感覚に陥ってしまう。 誰かに勧めたくなるような気もするのだが、誰に?そしてどう言って? |
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マリーンズ古賀二軍監督(当時)の勇姿に、かつその波乱万丈な野球人生に惹かれ飛びつきました…が、序盤に筆者がその友人たちと
やたらと顔を出すのがウルサくてなりません。せっかく本人を前にして話をしてくれようという状況で、俺が会わせてやったんだと
グチャグチャ口を挟むでしゃばりそのママです。 この手の本って何故著者が顔を出すんですかね、聴きたいのはお前の話ではなく、お前が聴いた話なんだよ!とイライラするんですが。 第2章で引っ込みますのでソコからは安心出来ます。もっとも最後にまた邪魔しに出てきますが。 細かい用語に感じる違和感は拭い得ませんし、お手軽に書いたような印象は拭えません(そもそもタイトルの二軍監督が合っていない 気がします)。例えば写真やら成績表などの資料が、また本人以外に取材した形跡がほとんど無いので薄っぺらい。読み進めるうちに勿体ない、 からイライラに変わっていきます。 関係した人名を羅列するだけでも興味深いのに勿体ない極み、熱意の欠片でも有ればなぁ。仕事として安易にまとめた感が有り残念だと言うのが 正直な感想です。 【蛇足】 違和感を覚えた箇所のうち一言挟みたくなったものを以下に。 まず球団名から頑なに千葉を外しロッテマリーンズと呼び続けるのは何故か? 2005年のマリーンズを5冠+1と言うが当時は6冠と呼ばれた筈で、ファーム日本一を+1というのなら残り5冠を確認されたい。 同年の日本シリーズはプレーオフのおかげ「だけ」でタイガースが敗れたようなニュアンスが不快である。 …他にも多々有りますがキリが無いので割愛。志が感じられず勿体ないこと極まりない。 |
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全体的に雑な印象はぬぐえないが、それでも面白かった。ただ舞台がスコットランドと言う点を除けば、それほど新鮮ではない内容なんですけどね。 個人的な好みで言うと、もっと登場人物たちの性格の悪さが前面に出てくると楽しかったかなぁと、そこが残念。 もう少し読み易くても…と思わなくもないが、そうすると大人しくなってしまうんだろう。難しいもんだな。 新人だそうですから果たしてこの先どうなるのやら?無責任に心配しちゃうんだよね。 |
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| もとはラジオの深夜放送だそうですが、いかにもそのママでした。本に纏めるのならもう一工夫するべきなんじゃないでしょうか? | ||
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平成20年5月に長女が生まれ、僕自身が著者と似たような境遇で読みました。 共感したり…と言いたいところですが、余りそういう箇所は無かったですね。むしろ子供の誕生直後に著者が 他の父親に言われたコトってのが印象に残りました。中でも 「むしろ娘が不細工で人気が無ければ良いと願う」 なんてのは当事者じゃないと実感出来ないんじゃないかしら? 本書の長所と短所は日記で有るという点で、起承転結などの構造から外れているだけに興味の無い人には退屈 極まり無いんじゃないか?もっともそういう人は読まないでしょうけど。 |
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一言で言うと、糸の切れた真珠の首飾り。 確かに主人公たちの過去の体験は凄く、それぞれを独立した短編にしたって宜しかろうに思うほど。また展開も贅沢にアレコレと楽しませてくれる。 特にラストシーンなどは仄かに心温まってしまいそうだ…が、その割に、またはその為に肝心の本筋が弱く思える。 過去の強烈さに負けているだけでなく、存在自体が希薄で決着の付け方などテキトーの印象が拭えない。作者の描きたかったコトのと僕の読みたかった コトとのズレなのかもしれませんが…。 |
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タイトルが目に付いて何気なく手に取り、更に表紙に惹かれて購入。そのまま読み出したら
意外と…という久々に楽しい経験をさせて頂きました。コレだから本屋通いは止められないのだなぁ。 さて具体的な場所や時間については一切説明が無いのですが、その辺りが逆にお伽噺的な雰囲気を醸し出し 良い感じです。少し読めば20世紀以降とは直ぐに判るんですけどね、冷蔵庫とか記述が有るので。 ただ雰囲気としては先述の通りお伽噺か、ホフマンなど19世紀の不思議文学的(言い方がオカしくて恐縮)です。 願わくば料理についてもう少し具体的な記述が有ると、登場人物たちと同様に涎を流しつつ主人公の 魔力に屈せたのですが…むしろ映画の方が良いのかもしれませんね。『バベットの晩餐会』なんか腹が減ったもの。 ただ映画化するなら最後にスッキリした“結末”を与えないとイカンかも知れませんが。 |
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全体として描写がアッサリしていて食い足りない。 適度に緩急を利かせる為には省略した方が良い場合も有りましょう、しかし全体的に淡泊なので効果がイマイチなんですよね。面白いと言えば 面白いのですが。 |
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暴力が嫌いな悪党に始まり、全体的に優しい作品で安心して読めた。登場人物のほとんどが善良
(少なくとも悪党も憎めない)だからだろう。 確かに意外性の強いどんでん返しやスリル、サスペンスの類は欠けると言えるだろうが、補って 余りある幸福感に溢れている。言うなればガッツリとした食事ではなく、上品な洋菓子とコーヒーの セットと言う感じでしょうかね? |
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億万長者が貧乏人の振りをしてホテルに泊まろうとしたところ、ヒョンなことからホントに
貧乏な青年が“貧乏の振りをした億万長者”に間違われ、本物の方は億万長者はホントに貧乏人として
扱われ…という僕が下手に説明するとややこしい設定。 最初は「この設定だけで一冊もつのかなぁ」と不安でしたが、最後まで楽しく読めました。ラストの 一行で最高に幸せにしてくれるんだから上手いなぁ。モノクロ時代のハリウッドで映画化されていないか 知らん? ただナンとなく悲しいのは、この後のドイツの運命を僕らは知っているからでしょう、果たして あの時代を乗り切れたのか…。 |
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以前に読んだ時はピンと来なかったが、今回は楽しめた。ただし『消え失せた密画』や『雪の中の三人の男』と
違い、(一般には敵役が居らず全てが善人というのが注目点らしいが)日記形式なので少々読み辛い。 いや読み辛いというより、伝わりにくい…か?思うに一人称の方が僕の好みではあったな、と。いずれにせよ 前二作とあわせて三部作というのには無理が有るように思えた。 面白いんですけどね、ただなぁ。 |
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久々に我慢出来ずに一気に読みました。勿体ないったらない話で、週一回などと間を置いて味わいたいものですが耐えられませんでした。 確かに文章がやや固くスンナリ読み難い箇所が有ったり、また急き込むように続く謎解きに目眩がしたりとプロの娯楽とは行きません。ただそれでも面白いのは 人物がしっかり描かれているからでしょう。 短編なのも素晴らしい。一晩で読めるのは知的ゲームとしても読者の負担にならず、公平にも思えます。普通に生活していると作者ほどその世界に 浸れませんからね。なによりスッキリしていて下げがまた見事でした。
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形はミステリーですが肯定的な意味で言うと、違います。 ニューヨークを舞台に殺人事件を追うベテラン刑事…と雑に設定を書くとモロですが、そういう設定というだけで 実際はもっと多面的。自分の父親を反面教師にして息子に接していたつもりが離婚して家庭そのものを壊してしまった 主人公と、父親との付き合い方が判らない息子の関係がまず微妙。更にこの二人を中心に様々なタイプの登場人物が出て きますが、全てに体温が感じられます。 読み物としてはどうか、と言うと所謂ミステリーの王道としてのソレとは違いますが謎解きもちゃんと有りますし、 「あ!」と思わせられる仕掛けも幾つか有ったりします。こういう“娯楽”も有るのだという感じですね。 ただ全体に抑制の効いた描写であり、作者の(ほぼ全ての)登場人物に対しての愛情や好意が感じられるので、この辺り 「地味で食い足りない」と思われる方も多かろうと思います。 |
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いや面白かった!意外ですけどね、ロシア文学の暗くて長くて読み辛いという印象(しかし嫌いではない)は、
ドストエフスキーが諸悪の根源なんだなぁ…と改めて思いつつ爽快に読了しました。 爽快ってのも不適切かな? 得体の知れないチチコフなる主人公が目的を明らかにしないまま、既に死んでいるものの戸籍というか帳簿上は 生きているコトになっている農奴を買い漁る様子を描くというのが骨子です。で、それぞれの相手にロシアの現状 (と言っても当然執筆当時かその少し前、いずれにせよ19世紀半ば)を戯画化しているのですが、これが面白いんですよね。 そしてその目的と正体を明かすタイミングが上手い。 第一部の終盤に作者自ら述べているところによると本来は三部作の構想だったらしいのですが、実際には未完の 第二部で中断しています。 しかしコレはコレで良かったんじゃないでしょうか? なんとなく説教じみて来かけていたので、コレはちょっとなぁと感じ始めたところで終了…ですから。完成していたら 単なるお説教になっていた気がします。ミロのヴィナスと同じで、未完だからこそと言えるのではないかしらん。 勝手な言い分ですが。 |
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以前より本を読んでいて参考になる箇所には後日読み返せるよう、そのページに付箋を挟むようにしています。
もっとも滅多にそんなコトはしないのですが、『肖像画』では短編なのに3箇所にも挟んでしまいました。 備忘を兼ねて皆様に紹介がてらココに転記しようかとも思ったのですが、後日玩味熟読して多少とも身に 付いてからにしたいと思います。中途半端な理解の現状でソレをしたら忘れてしまいそうなので。 全体的にアッサリと描かれている感じで読み易く、お薦めです。話も面白いですし。こういう本が古書店で 運良く見付けられるなんて幸せとしか言い様が有りません。 |
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所謂典型的な「団塊本」で期待はずれ。 まず江夏豊が何者かが判らない。 絶対的な投手だったのは誰も否定しないが、違う時代の比較対象が松坂だけってのは不公平ではないか?例えば金田正一などと 比較してどうなのかと先輩世代の意見を聞いていないので残念ながら身贔屓の印象しか与えられない。コレって逆効果でしょうに。 また人間江夏の“体温”が感じられず証言者たちの顔も見えない。 「読者にとっては蛇足かもしれないが…」と言いつつ自分について書いている部分も有るのだが、自分の都合の良いように 摘んでいるので中途半端で非常に邪魔である。むしろ当時の自分が江夏をどう観ていたのかなど書き込んでいれば、共感にしろ 反発にしろコチラも感じるところが有った筈だが、逃げている。 全体的に熱の感じられない一冊。 |
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一言で言うと導入部が上手い。 兄の死に取り乱した主人公のモノローグで始まるのですが、それが丁寧かつシッカリと描かれているので やや長めでもそう感じません(むしろ適切な分量です)。またそのおかげで物語に入り込めるので、中盤以降の 展開の速さがよりスリリングに楽しめます。 終盤に入り読者の意表を突こうとし過ぎてか構成が破綻していなくも無いのですが、多少のムチャや説明不足も ギリギリで許せるのはドップリと引き摺り込まれているからでしょう。 そういう意味では創作講座の手本に出来るんじゃないでしょうか… 誰かさんのと違って。 |
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僭越ながら“忠臣蔵”への不快感がまだ体内に熱く燻っており笑いに昇華しきれていないように
思われますが…先生、如何ですかね? いやチョイと期待と違ったもんで。 もっと紙数を使ってシッチャカメッチャカなのが読みたいんだけど野暮ってモノかしらん? |
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あえて断るのもおかしいですが、あの『坊っちゃん』の“うらなり”くんのその後です。それなりに波乱万丈な人生の筈なのですが、
いや淡々と進むのが彼らしくて良いです。個人的にはもっと淡々としていても面白いんじゃないかなんて思ったりしました…コレには
賛同が得られなそうですが。 |
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【関連作品】 『坊っちゃん』夏目漱石 |
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先日久し振りに読み返して見たのですが、当時の感動(?)は無かった…と言うか、コレってどう見ても
習作集ではないか。わざわざ出版しなくても、と思わなくも無いんですけどね。 例えば『完本小林信彦全集』なんてのが出るとして、その資料編としてで良いのではないか?…まぁ今更ですけど。 |
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久し振りに読んだがやはり面白かった、初見当時とは比較しようが無いが読み方は変っていない気がします
…成長していないなぁ。 出たとこ勝負のシッチャカメッチャカに思えるのですが、古典落語も最初はこうだったんじゃないか…なんてぇ のは贔屓の引き倒しってやつですかねぇ? |
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面白く読みましたが、果たしてコレってどこまでが史実(史料を明示出来る)なのやら、どこからが創作なのやら? それらしく書いてあるので本気にしてしまいそうですが、果たして…と気にするよりは単純に楽しんだ方が良いのは判るのですが、 やはり気になってしまうんですよね。いや明らかにコレはと思う部分も多々あるのですが、もしかしてとも思ってしまったり。 |
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紹介には長編とあねので随分と変わった出だしだなと思っていたら短編集でした…おいおい?僕も迂闊だけどさぁ。 SFという定義に入るかは別にして面白かったのは「HAPPY BIRTHDAY TO……」で、芥川の『羅生門』の構成を更に進めた印象でした。 もっとも仕掛けが全然違うんですけどね、いずれにせよ惹き込まれました。 また表題作は映画で観たかった。今ならCGやら3Dでリアルかつ現実味のない映像が作れるのだから誰か挑戦してくれないものか? 結末には違う解釈を与えられてしまいそうですが。 |
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| 芝居の台本をそのまま小説と言う体裁にしているだけにしか思えず、正直読むのが辛かった。「わーいわーい」なんてセリフを 小説の文章として読ませられる日が来るとは思わなかったよなぁ…。 | ||
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久々に眠いのを押して読む本に出会いました。 19世紀半ばのイギリスが舞台の推理小説ですが、所謂推理小説ではありません。令嬢の誕生日に遺贈されたダイヤモンドの盗難事件が 主たるテーマでは有るのですがその事件に絡む様々な登場人物たちがまた興味深く、謎解き一辺倒の知恵比べモノとは違います。 密室トリックやら用意周到な犯人と名探偵との知恵比べの類が好きな方には果たして不満でしょうが、小説としては非常に面白い …んですが、やや描写がくどいので少々とっつきにくくも有りますが。もっとも書かれたのも19世紀ですから。 とにかく面白く読みましたが、他人にはお勧めし辛いのも確かです。なにしろ長いんで。 |
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全くの無知でお恥ずかしい限りですが、著者はディケンズと同時代の人気作家だそうで、推理小説の
太祖とも言える存在だそうです。そう言われてみれば確かにソレらしい仕掛けは有りますが、謎解きとか
スリルなどが盛り込まれているという程度で今日の推理小説を期待してはいけないでしょう。 まぁ期待して読むヒトも少ないでしょうが。 かく言う僕自身が推理小説の愛好者ではないので、むしろこの程度の方が読み易くて良かったです。 全体としては他愛も無い粗筋ばかりなのですが、それでも読めてしまうのは多分僕が古い小説を好むからでしょう。 ただ表題作の『夢の女』は怖かったなぁ…嫁姑に絡むのですが、夢は夢でも悪夢です。 |
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【関連作品】 『人間の絆』 特に関連が有る訳でもないのですが、人生の織物に例え禍福の出来事をその模様である…としているのが 共通で面白く思いました。 まさかモームがパクったんじゃないよね、と小さいことを言ってみたりして。 |
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外国人による幕末から明治にかけての日本見聞記が好きでアレコレ読んでいます。本書も同様の理由から手に取ったのですが、
期待以上の面白さでした。 著者は帝政ロシアの海軍士官。19世紀初頭に蝦夷地で日本側の捕虜となってしまいますが、本書はその事件の発端から 解決までを描いています。 「もし日本人が西洋の文明を取り入れてその気になりでもしたら、東アジアに動乱が起きるだろう」とは卓見で、 不自由な捕虜生活の中でこんな分析が出来るとは…と驚かせられます。 もっとも一方で「(日本人の番卒は)白人と黒人が同じ2人の祖先から誕生したなんて信じられませんなと言っている」などと 言う件には19世紀のキリスト教徒が感じられてコレはコレで興味深いのですが。 “文明人から見た未開な社会の観察記録”を野蛮人と言われる立場から読めるというのも興味深い経験ではないでしょうか (時々腹に据えかねる描写の有りますが)? |
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【関連作品】 『菜の花の沖』司馬遼太郎 『私残記大村治五平に拠るエトロフ島事件』森荘已池 |
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