| あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 | は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
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ヒロインの周囲の状況には怒りと絶望を禁じえない。時代も有るのでしょうが、彼の国での
“罪”とはなんぞや?と腹が立つ。 こんな反応をしてしまうのは作者の上手さでしょう、丁寧に書き込んで有るのでどうしても 小説の世界に入り込んでしまいました。 展開には過不足無く、必要な場面は描きこむ一方ドギツくなりそうな場面は上手く省略しています。 ただ書き込まれていない部分を膨らませれば別のタイプの作品として読めるのではないでしょうか。 例えばヒロインのテスを弄び、更には弱みに付け込んで愛人にしようとしたアレクは本当は 遊び相手としての女性しか知らない寂しいヤツだったのではないか? またテスの過去を知り一度は絶望的な気分になり逃げてしまうエンジェルの行動も、単に器の小さい 男ではなく、女性経験の少なさから来る劣等感の表れではないか? もし自分が創作する側に立つとしたら、と考えても楽しめます。 それにしても上巻の「訳者あとがき」で下巻の粗筋を全て書いてしまうのはイカガナモノカ? |
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【関連作品】 『テス』監督ロマン・ポランスキー:1979年/フランス・イギリス |
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読み終えてみれば、または粗筋だけならばそこそこの作品ではあります。僕には読み終えるのにかなりの忍耐力を必要でしたが。 版元によればアメリカ文学史上最大の謎であるエドガー・アラン・ポーの人生に於ける空白に肉迫する…んだそうです。また本作はそれだけではなく ポーの作品に登場する名探偵デュパンのモデル探しも含まれており、興味の有る方には一粒で二度美味しい作品になっています(作者の結論または主張には 説得力が有るように思われます)。 更に言うともっと大きな仕掛けも有りますし、一方で様々な愛の物語も描かれているという贅沢な造りです。 ただねぇ…捌き方がドの付く下手っぷりで、読んでいて苦痛な程です。舞台なら野次り倒されて当然かとも。 根本的な問題点としては作者の文才の無さが挙げられます。読んでいて情景が浮かばず、道案内に例えるなら行き先どころか現在地すら満足に説明出来ない。 加えて作品全体の構成が悲惨で読み辛いことこの上ない。 娯楽的要素が邪魔でならず、本来の出発点であろうポーの謎解きがオマケ(敢えて言えば蛇足)になってしまっています。 せめて謎解きの短編とフィクションの長編との二部構成にでもすれば良かったのに?更に言うと仕上げは本職に任せる分別が欲しかった。 出来ないのが素人の浅ましさなんでしょうが。 |
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思い付きだけで書き散らかしているというのが正直な感想で、味わいもナニも無い粗雑な読後感である。むしろ凄いだろうと得意気なのが鼻につく。 星新一の素晴らしいさが再認識出来たのだけは救いだが…それくらいは本書を読まなくてもなぁ? |
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うーん、これでノーベル文学賞か。 長年の作家活動に対するナンチャラカチャラだそうですが、それ程の作家には思えないなぁ。勿論たった4点だけで評価を下すのは 無茶でしょうが、しかし無作為に選んだ訳ではないのでしょうから…それでもなぁ。 あまりお勧めは出来ないですね、誰も読まないか? |
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実は以前の話なんですが、本書を原作とした映画『スパイダー』を観ながらナンか知ってるなぁ…としか思い出せない
くらい、初読の記憶が有りませんでした。 今回再読して確認したのですが、なるほど血腥い話に餓えていたガキの頃に読むと詰まらない作品でしょうね。 なにせ薄味だから。 主人公の一人称は回想なので生々しくなく、他の登場人物を描く三人称は一人称に近く心理的な描写が多いので、残虐な 場面は有っても直前でかわされます。 ただ改めて読むとコレも有りかな、と。 不気味な不安感は充分ですし、話の展開もスピーディーで退屈させません。ただ構造はキッチリとはしてません。 好き嫌いというよりも、合う合わないが別れる作品だと思います。 |
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【関連作品】 『キス・ザ・ガールズ』 『殺人カップル』 |
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本作では前作と異なり心理学の博士号は余り活躍しません…というか、ソレどころじゃない設定なんですがね。 評価は別れるところでしょうが、個人的には本作の方がスッキリしていて好みでした。 作者が用意した謎解きに挑戦する方々にはヒントが少ない、または適切ではないとご不満も有りましょうが、 与えられた餌を食べるだけの僕には丁度良いテンポでした。終盤での“顔”の見せ方も小説ならではの描写で、 ゾクゾクしましたし。 ただ主人公に判らないコトはそのマンマ書きません…ってのは巧いと言うよりズルい、かな? ちなみに『多重人格…』の続編と言うより、第2話みたいな感じです。未読でもまるで困らないようにはなっていますが、 前作の登場人物がチラリと名前だけ出て来るのはチョイとね。 ただ妻の死因が違うのはわざとかしらん? |
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【関連作品】 『多重人格殺人者』 『殺人カップル』 |
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相変わらずスピーディーな展開と小説ならではの仕掛けで最後まで引っ張られてしまいます。もっとも
プロファイリングなんか皆無に近いのも相変わらず、ですが。 前作でもそうでしたが真犯人が堂々と顔を出しているのに読者には正体不明…なんて他では難しいか 不自然でしょうね。この辺りは小憎らしい程です。 また端折り方も絶妙で、作品のテンポが速まってからは大胆な程に省略しまくります…この辺りで好き 嫌いが分かれそうですが。 僕としてはフリードキンの映画のようで嫌いではありません。一々次を説明して貰ってもまだるっこしい コトが有りますしね。ただラドラム好きとしては逆で、ガッチリとした骨組みと馬力の有る演出がお好きな 方にはヌルいと思います。 なおシリーズ全体を未読の方はやはり一作目からの通読をお勧めします。筋そのモノには影響はないものの、 過去の登場人物が実在の人物同様に扱われているので知らないとチョイとしらけかねないんで。 ちなみに毎度のコトながら解説は不親切の極み。 次の作品の粗筋やら仕掛けをバラしてしまうだけでも非道い話ですが本書の場合、紹介だけして翻訳してません。 オマケに次の訳出は別の出版社になってるし? |
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【関連作品】 『多重人格殺人者』 『キス・ザ・ガールズ』 |
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相変わらずスピーディーな展開(と細かい章の連発)で読ませますが、それだけ。妥当な表現か判りませんが
コクが無いとでも言いましょうか? 本国アメリカでは売れているのになぜ日本では…とスタッフ諸兄は疑問かもしれませんが、僕としてはなぜアメリカでは 売れているのよ?と。まぁ一番の“なぜ”はなぜ僕は付き合っているのかなんでけどね。 |
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なんとも享楽的と言うかナンというか? そのシーンが面白ければ前後はどうでもいいじゃないのと言わんばかりでペラペラです。最後はヤケクソにしか 見えない展開になっていますが、続編が存在する様子。果たしてどう…って、全然気になりません。 さようなら。 |
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映画化作品公開に併せて文庫化した形跡が有る(誤解だったら申し訳ない)のだが、ならば表紙は映画の写真を使い改題しても
良かったろうに…と残念。A.エッカートのイメージが見事に填まり過ぎて、表紙のイラストにはガッカリを通り越して不快感さえ
覚えてしまった。それにこのタイトル…どうなのよ? 作品はと言えば、可もなく不可もなし。 全体として映画化された作品の方がテンポも良く面白い。話の展開は両者別物なので好みの問題になり、多くは語らないが 纏まっていたのはやはり映画だろう。また表現としては小説としての長所が生かされていない気がする。箸より 短いラーメンが丼に山盛り出て来た感じで、ブツブツと細切れで充実感が無い。討論のシーンなどアッサリし過ぎていて 創作するコトから逃げているとしか思えなかった。 割と長めの本なのだが食い足りないの一語に尽きる。 |
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【関連作品】 『サンキュー・スモーキング』2006年/アメリカ・監督:ジェイソン・ライトマン |
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小説が「ロマン」と言われていた往事が偲ばれる作品集で、楽しく読めました。まぁその当時の作品なんですが。 特に表題作は発表当時は恋愛が主題だったものを後に画論を中心に大幅な加筆したそうで、ソレが絶妙な味わいを 出しています。偶然か狙い通りかは文豪相手に素人の推測するところではありませんが。 絵に取り憑かれている男たちと現実を生きている女性の対比のようなモノが表されているなぁと。 病気小説としても読め…ないか? 他に僕が好きなのは「沙漠の情熱」で、ルソーの絵をイメージしながら読みました。 |
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以前同著者による『ドッグ・イート・ドッグ』を読んで打ちのめされ、『ハイ・シエラ』で怒りに震えた僕ですが、
本作の主人公にはチョイと微妙でした。 いや、絶対に面白いんですけどね。 ※以下内容に触れるので未読の方は読了後に進んで下さい※ 8年ぶりに出所したマックスは今度こそ更正しよう、せめて悪事には手を染めるまいと決意しているものの、社会は そう簡単に復帰を認めてくれない。思うように就職とて決まりません。 オマケに保護監察官やらは偏見に凝り固まったクソ野郎で、そりゃ主人公もキレるわなぁと同情…はチョイと難しいん ですよね。本作では。 処女作だから仕方が無いのかもしれませんが、この辺りの展開がパターンな感じが否めないからなんでしょうか。 もっとも最後に明かされるように回想録として書かれているのだと考えれば、主人公の言い分である訳で、その辺り 深読みした方が良かったのかも、と思えはしますが。 その後結局犯罪者に戻ったマックスは大きなヤマを当てた後に全国手配の包囲網の中を奇跡的に国外脱出を果たします。 そして誰も自分を知らない、追ってこない土地で静かな生活(まさに小説の前半で求めていた)を手に入れますが、 退屈してしまい再びアメリカに戻り“ゲーム”を始めることを決意する辺り、所詮はというかやはりというか。 最後に一つだけ苦言を呈するとチャンと校正はするべきです。“つきの”とか“白動車”ってナンナンダか?多分 前者は“次の”後者は“自動車”なんでしょうが…特に後者はイタズラかと思えますが…しかしなぁ。 |
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本書は表題作である長編「どぶどろ」の前に短編が7作収録されており、この短編の登場人物たちが「どぶどろ」で一つの流れに纏まって行くのが
面白いところの一つ…と言いたいのですが、ちょいとやり過ぎに思えます。中には無理して殺されちゃってる人も居るし? 序章とでも言うべき短編集の部分は面白いんですけどね。 山本周五郎や山手樹一郎、また藤沢周平らと違い、江戸時代を描いているのに妙に現代的というか、不思議な緊張感が有ります。長いセリフ回しが 有るからか?などとも考えましたが、僕ごときには説明しきれません。前述の作家たちが日本画で描いているのをこの作品集は油彩で描いているようだ とでも言いましょうか。 もちろん嫌いではなく、むしろ新鮮さを感じつつ楽しく読みました。 ただその分「どぶどろ」がなぁと残念でなりません。序盤にもっとゆっくりと登場人物を描き込んで欲しかったし、なにより説明的な部分が多くて 読み辛いというのが正直な感想です。終わり方自体は嫌いではないのですが、その前がね。 |
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好き嫌いのハッキリする作品で、僕は取り込まれたクチでした。 ただどう紹介して良いモノか? 特に終盤はグチャグチャで細部がハッキリしないんですよね…もっとも筋立てや語り口を整理してしまったら つまらない凡庸な推理小説程度で終わりそうですが。 |
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意識してかは判りませんが、前作より読み易く判り易い仕上がりです。 読んでいて気が付いたのですが、コレって実際に起きた“ヨークシャー・リッパー”を元にしている…と言うより その時代を、また事件そのものではなくソレを追っている人間を書こうとしているのではないかしらん。 そうだとすると事件の捜査、増してや解決なんかどうでも良い話になる訳で、その辺りも嫌うヒトが出る要因と 思われます。 僕は肯定派なんですけど。 |
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文庫裏表紙の紹介文とは全然違う味付けの展開なのですが、ソレで良かった。そのままだったら裏切られた感じがしたでしょう。 ソレはさておき、四部作の三作目となる今回はやや纏めに入った気がしなくも有りません。それなりに前作と繋がっているし アレコレと解明される部分なども有りますし。 思うにこのシリーズって一人称で展開していますが、今までのソレと違い自分を客観的にみる要素が完全に欠落しています。 一人称って大抵は読者を意識して語りかけてくる部分が有ると思いますが、ココではそれがありません。“たった今”主人公の 目に映ったものの羅列であり、耳に入ってきた音であり、頭に浮かんだ言葉を並べているだけに近い感じです。特に主人公が テンパって来るとソレが顕著になります(まぁ誰でもそうでしょうが)。 そういう意味でも映画的な作風と言えるかもしれません。主人公と同じ情報しか与えられないって辺りが特に。 |
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前三作とは異なり一人称、しかも“現時点の”ではない。一人称の章も有るのだが、他にも三人称やナレーター
(と思しき話者)が登場人物の耳元でその行動を唱え続ける章と語り口は三様。加えて一人称では現在と回想が交錯
していて、不親切この上ないコトは確かである。 加えて前作までとは異なり単体で作品として成立しているかと言うと、ソレも無い感じ。四本目の柱と言うよりも、 三本の柱の上に乗る屋根、というのに近いのではないか? 個人的には前作と同様のテイストで進めて欲しかった気がする。 合わないヒトは一作目の三分の一も読んでいないだろうし、ココまで付き合ったからには今までのパターンを 肯定しているのが前提で構わないだろうから。 ただし、四部作の纏めとして読むとアレコレと見えて来ます。もちろん解決させず謎のままの部分も有るのだが、それは まあ作者のスタイルでしょうから良しとして。 もしコレからシリーズを読み始める方には人物関係をメモしつつ読むのも一興であろうとお奨めします。少なくとも 頭に残っているうちに進めるように一気に行って頂きたいですね。 |
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先日処刑されたサダム・フセイン元イラク大統領が悪役として顔を出します。本作の執筆時期
(湾岸戦争時)では当然現役だったせいか、ホントにチョイ役なんですが。 また一度使った主人公を再使用した割に活躍が無かったり、敵役の描き方が徐々に“使い捨て”は 惜しいと感じているようなものに変化していったり…と時間の無さを感じました。 多分元ネタのニュースが熱いうちにさせて発表しようとしたのが敗因かと思われます。 ところで初登場のショーン・ディロンはやはりロバート・カーライルに演じて欲しいのですが、 このままでは難しいか? |
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このシリーズは何冊か読んでいるのですが、やっと読者となり得る年になったのかな、と思わされました。
今までは乾いて平板な印象でしたが、荒涼とした景色を描きつつ細かい部分に色彩が散りばめられているのに
気が付いたとでも言うべきでしょうか。 大人向けだったんだなぁ。 物語は失踪人探しと車両盗難事件の捜査から始まり、別々のモノだった二つが交錯した時に殺人事件へと 発展します。この辺り無理がなく、また真相についても後出しがないのがミステリー初心者には優しい限り。 でもミステリーと小さく括れないと思いますが。 願わくばシリーズ全作品を順番に読み直してみたいものです。せめて持っているモノだけでも。 |
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愛読者も多い長寿シリーズですが初めて読みました。なにしろ以前は御宿(おんじゅく=千葉県の地名、念の為)の話かと思っていたくらいで予備知識無し。
まぁ不要なんでしょうが。 一読して思ったのは人気が出るのも当然だと言うコトでした。確かに面白いです。純粋にミステリーの一形態としての捕物帳として読むと甘いところも 有るように思われますし、ご都合主義的に先が読めるのもやや残念です(細かいコトを言えば最初にもう少し登場人物たちを紹介して欲しい)。 しかしなにより語り口が良い。ざっくりとした淡彩画を思わせる描写は魅力的で、しっとりとした読後感は心地よく、長く付き合いたくなりましょう。 ただねぇ…ちょいと仕上げが足りないように思いました。 ヒロインの性格描写が現代的なのはまぁ良いとしても、外来語がちょこっと入っているのはどうなんですかね。スパイとかトラブルなんて他に言いようが いくらでも有るでしょうに。 少なくとも当面は無いかな、僕は。 |
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思っていた以上に通俗的な冒険ありロマンスありの内容で、単純に面白かった(というのも変か?)。 知らなかった帝政ロシアにおけるプガチョーフの反乱という史実や、当時の風俗なども興味深く 最後まで飽きさせない。最終的にカットされた部分も拾遺として掲載されているのだが、面白くは有るが なるほど無くても良い場面で成立過程が判りコレもまた面白い。 なによりプガチョーフのキャラクターも生き生きとしていて良かった。その他のキャラクターも同様で 上手いよなぁと、なんか僕らしくも無く絶賛だね? ※なお今回僕が読んだのは昭和14年版で左上画像はその口絵ペローフ筆“プガチョーフの 反乱(部分)”です。 |
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とにかく激痛への恐怖は読んでいるだけなのに辛いくらい伝わってくる、いやホント困る程です。 ただ他はもう少し整理して欲しく残念。盛り上げるのも大事だが、そうして読み辛くなるのならどちらを優先すべきかは判りそうなものだが …まぁ僕の趣味や読解力の問題でしょうが。 |
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【関連作品】 『華岡青洲の妻』有吉佐和子:確かに訳者あとがきでも触れているように現在では使われていない施薬ではありますが、僕としてはコチラに 軍配を上げたいところです。いや“読み物”としてもですけどね。 |
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19世紀前半のニュルンベルクに突然現れた奇妙な少年…の話は映画で観て知っていましたが、本書はその少年の観察記録。著者は近代刑法学の父と
される人物だそうで、当時の知識人だけに記録者としては申し分なし。非常に興味深く読みました。当時の最先端科学なんてのも覗けますし。 ただナンというか出題だけされた気分で、誰か答えを教えてくれろと叫びたくもなります。もっとも判らないからこそ興味を引く訳ですが。 |
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まず最初に断言してしまうと裏表紙にある「推測不能、純度100%の時限爆弾サスペンス」ってのは大嘘です。 巷を恐怖のドン底に叩き込んだ連続レイプ殺人事件で死刑判決を受けた悪党は無罪ではないか?冤罪を確信した 主人公は真犯人を探し始めるが、死刑執行まで残された時間は僅か6日だった…と言うのが始まりですが、 残念ながら先は読めます。 裏表紙も余計なコトを書き過ぎているのですが、なにより読者に考える余裕を与え過ぎており仕舞には判ったから 早く先を言えよ!と作者に一発かましたくなりました。 このテンポの悪さは致命的で、仮に先が判っても楽しめる可能性は有る筈なのにソレすら放棄した形になっています (僕は作者と知恵比べを喜ぶタイプの読者ではないのですが、それでも判ってしまった)。 残り時間が刻々と減って行くコトに対する緊迫感が皆無に感じられるんですよ。 また人物描写が不足していてイマイチ登場人物の顔が見えてきません。特に主人公について某俳優に似ている… だけじゃねぇ?例え他の登場人物の印象とはいえ作者が他に書いていなければ決定的であり、以降主人公がその俳優の イメージから外れる言動をする度に違和感を覚えるんですよね。 また主人公の過去について凄く雑に触れていますが、コレってシリーズが進んでからならば許されるのでしょうが、 1作目からやられるとチョイとなぁ? 飽きさせないだけマシと言ってはキツ過ぎかしらん。 |
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やはり飽きさせず読ませはするのですがソコまでですかね、個人的な趣味になりますが。 まず前作に対して文句を言いつつ本書を手に取った理由を書くと、裏表紙の紹介で触れられているネタが 僕のツボだったから。病院の手抜き工事による崩壊事故とその死傷事件の裁判なんて、耐震偽装騒ぎの 頃なら巷でかなり話題になったんじゃないですかね…発表との時期はどうなんだろう? また前作の連続強姦殺人云々に比較して、センセーショナルに過ぎないのも良いかと。 ただ前作に比べるとマシになったとはいえ人物描写が不充分で、ノッペラボウが何人か居るのが惜しい。 大体前作でKGBに殺人訓練を受けたようなコトを言っている割にその見せ場が無く、またその実力も怪しく 思えたりします。護身用に射撃だけは一通り、なんて程度で良かったんじゃないですかね。 また事件に関してもスッキリしない。 いや終わり方がどうとか言うのではなく、読ませ方がスッキリしません。読んでいてピン!とピースがはまり、 「おぉっ」とスパートがかかる場面が有っても良かろうに、その手のサービス精神はなく訳知り顔に省略して 済ませてしまいます。 おかげで今ひとつ乗り切れない。 ところでこのシリーズの中で本書だけ絶版らしいのですがナンでなんですかね?前作との時間軸のズレに ついては解説でも触れられているのですが、むしろ自作以降との整合性が問題のような予感がするんですけどね。 |
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冒頭から危機にある主人公…は良いが、彼が何故そういう状態に陥ったのかという説明が雑の極み。章を会話から始めるという
手法もワンパターンになっており飽きてしまいます。 たまにやるからこそ、だと思うんですがね。 またテーマと言えるようなモノを加えている辺りを評価する向きも有るようですが、僕として否定的です。どっち付かずなんです よね。 訴えたいテーマをより広く伝える為に娯楽の体裁をとるのか、または娯楽の隠し味に苦いテーマを使うのかが中途半端。 もっとも全てにおいてそうなんですがね。 脇役の描き込みも、仕掛けの処理も。ゴチャゴチャ詰め込み過ぎでバラバラです。印象的なシーンになるべき場面も、直前の タメの無さで流れてしまいます。 もっと面白い作品になる筈なんですがねぇ…?それでも上達はしてるかな、と偉そうに? |
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とにかくシリーズ最低作、読むに値しません。また続編が訳出されても縁切りです。 どこかで見たような、読んだような話を繋ぎ合わせてでっち上げて来た本シリーズですが、ここに至って万策尽きた感じです。 特に頭の1/3がグダグダの垂れ流し。更に前半が延々と発端なので退屈の極み、そりゃ後半は速くなるよなぁ…とグッタリです。 前作同様にテーマのようなモノがチラチラと触れられてますが、コレも単なる娯楽のままでは終わらないぞ、という向上心 というより、見栄にしか思えないんですよね。 なにより犯人たちを描き込んでいないのが最大の敗因で、それ故に全てが取って付けたようになっています。 最大の疑問はアメリカには編集者が居ないのか?というコトです。まさかコレで納得、満足じゃないよね??? |
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『暁のひかり』 『風の果て』 『喜多川歌麿女絵草紙』 『逆軍の旗』 『玄鳥』 『時雨のあと』 『静かな木』 『霜の朝』 『長門守の陰謀』 |
『驟り雨』 『花のあと』 『秘太刀馬の骨』 『又蔵の火』 『麦屋町昼下がり』 『無用の隠密』 『闇の歯車』 『闇の梯子』 『雪明かり』 |
『夜消える』 『龍を見た男』 『用心棒日月抄』 『用心棒日月抄孤剣』 『用心棒日月抄刺客』 『用心棒日月抄凶刃』 『消えた女』 『漆黒の闇の中で』 『ささやく河』 |
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なんかもうとにかく絶望的な感じで、江戸時代に生まれなくて助かったと思う作品集。時代劇をテレビなどで
見る勇気が失せます…ってのは言い過ぎですが。 もちろん単なる小説なので絶対的に正しくかつ厳密なルポでは有りません(そりゃそうだ)が、説得力が 有るんだよなぁ。 いずれの作品も展開が鮮やかで、読み手は有無を言わさず作者のリズムに引き込まれます。そしてサゲの見事さ。 冒頭に絶望的と書きましたが、必ずしもそうではありません。希望のようなモノも無きにしも非ずです。言葉通りに 希望としては描かれていないのですが。 しかし胸倉を通り越して感情を鷲掴みにしてくるんだから、残酷というかキツいというか…作者はスゴイ、というか 怖いよなぁ。 |
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最初は面白いかもしれないと思った構成ですが、さすがに現在と過去を行きつ戻りつし過ぎではないかしらん? ちょいと読むのが面倒になりかかりました。主人公に今一つ好感が持てないのも読み進むのにシンドカった理由の一つです。 全体としては興味深い設定では有ったのですがね、なんか残念な。 勝手な推測ですが、執筆時の作者は体調不良だったのではないかと思ってしまうような出来に思われました。 |
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好きでアレコレと作品を読んできたものの、実在した人物を扱ったモノはどれも今一つ好きになれませんでした。なんてなく構えているような
印象が有るんですよね。 そういう次第であまり期待しないで読んだ本書ですが、裏切られました…もちろん良い意味で。 作品そのものは勿論、面白い。思わず引きずり込まる導入部に始まり場面展開の切れ味の良さ、そしてサゲの見事さとドッシリと残る後味(なんか 変な表現だなぁ)。 ただ一番興味深かったのは、歌麿や馬琴が段々と作者の分身になって行くような感覚でした。 未だ目が出ない自分への不安と、それでも追い立ててくる内なる自負。またいずれ書けなくなるであろう不安のようなものが妙にリアルに迫ってきました。 |
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表題作は本能寺の変前後の明智光秀を扱っており、他の作品も有名無名を問わず史実を扱っているそうです。
いずれも藤沢タッチが堪能出来ますが、あとがきで著者自ら書いている通り確かに「書かずもがな」の感は否めないですかね。 特に表題作を除く三作がねぇ…史実を積み重ね続けるコトによる迫力は吉村昭には敵いません。まぁ対抗しようなんて つもりは無かったでしょうが。 ただし表題作だけは別でした。 史実を元に状況証拠から空想しているような歴史小説ではなく、生身の人間としてのアヤフヤさが非常にリアルでした。 光秀の謀反については黒幕が居たとか謀略が有ったなど推測して楽しむのも良いでしょうが、真相は…こんな感じかもなぁ? |
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【関連作品】 本能寺の変に関係する作品はコチラ(割と読んでますね、興味ない筈だったけど)。 『信長と秀吉と家康』池波正太郎 →あんまり信長を英雄として扱われると反感を持ってしまうのですが? 『花落ちる智将・明智光秀』笹沢左保 →本能寺の変を反逆する側から描いた作品。僕としては本書の信長像に説得力を感じました。 『反逆』遠藤周作 →松永久秀、荒木村重、明智光秀と続く信長への反逆の歴史と秀吉の“天下取り”まで。 『秀吉と武吉目を上げれば海』城山三郎 →前掲書では背景でしかなかった毛利方の様子が描かれています。本能寺以前から関が原の合戦まで。 |
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毎回のコトながら一読して思うのは場面転換の見事さで、過不足の無い省略がテンポ良く粋である。
特に紙数に限りのある短編の場合はソレが顕著であり、読んでいて心地良い。 小説の名手として名を成した作者だけどホントは映像作品の影響も大きいんじゃないかと思うのは 表題作である「玄鳥」のラストで、セピア色の映像と暖かい笑い声が聞こえてくる程だった。映像作家の 側が使いたくなるのも当然か?…とは思うが、ソレってどうかなぁ。 |
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藤沢周平はやはり短編の方が場面転換の絶妙さなど、生き生きとしてくると思うのですがいかがでしょう? もちろん長編でも腹の据わった面白いものも有るし、逆に本書の作品の中には紙数がやや物足りないものも有り 一概には言えませんが、それでもやはり短編の方が出来が良いと思うんですよね。 特に表題作なんか“やり過ぎない”最たるものだと思いました。 |
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作者最晩年の…という言葉がなるほどと言う作品集。脂が落ちてます、残念ながら。 それでも面白いのは確かですが、やや腰が据わっておらず息切れが感じられて寂しく感じました。ソレを傷としいなのは さずかに手練れと思うのですが、しかしなぁ。 ただ本書収録の表題作と「岡安家の犬」の2編はドラマ化などしたら面白くなるのではないかと思います。作者が余白を 多く残してくれたので、そこに創造の余地が多いに有ると思うので。 |
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僕自身は考えていないのでこう言うのはナンですが、小説を書こうと思っている諸兄には本書を一読するコトをお勧めします。 その味わいは多彩で、例えば体言止めとでも言うべき物語の切り上げ方。起承転結の「け」で終わるなんてかなり絶妙な作品が有ります。 読後の余韻は香りとしてではなく脈拍として残る感じです。 またいきなり緊迫した状況に読者を突き飛ばし、走りながら周囲が見えてくるような構成は短編の手本たり得るように思います。 他に回想を入れての一幕物も有り、組み立てだけでも面白いのですが更にテーマも色々で純粋に読み物としても楽しめます。 やはり氏は短編が持ち味を発揮出来るのではないかしらん? |
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短編集なのですが、表題作に違和感が有るんですよね。本書に収録する、というか表題作にする程のモノかと。まぁ僕の場合は歴史小説となると
吉村昭に傾倒しきっているものでチョイと辛くなるんで仕方が無いですが。 むしろ僕の中の藤沢周平だったのはやはり市井もので、特に幼馴染への恋心を描いた「春の雪」と、感じ入るとは僕もオッサンになったもんだと 思わされた「遠い少女」の2作が印象的でした。 特に前者の最後は辛い…。自分のしたコトに後悔しない女性に対して、簡単にダメになってしまう男の弱さよとも思いますし、また荒んでしまった 登場人物のその後も気になるし(立ち直るようにもダメになるようにも思われる、この辺りは人それぞれでしょう)。 しみじみと感想を分かち合いたいところですが…相手が居ないんだな、コレが。 |
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やたらに読んできたので僕にも「期待する藤沢周平作品像」が有ります。それは後味だったり香りだったりするので一言では言い表せませんが、
とにかく期待するモノが有る訳です。 ではこの作品集はどうかというと…ちょっと違うかな、と。 勿論コチラの期待通りでは案外面白くないかもしれませんし、作者にとってもマンネリでしょう。小津安二郎だって時には変化球を投げてますしね。 だから面白いと言えば面白いのですが絶賛するかと問われるとそこまでは、という感じです。 一冊全体を見てみると個々の作品がアチコチに向かっていて纏まりに欠けた観があり、イマイチな印象はそれも原因かなと。勿論別々に発表したものを、 多少は考えたにせよ寄せ集めただけでしょうから仕方ないんでしょうが。 |
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玉石混交といったら叱られそうだが、この作品集に関してはなんだか打率が低い気がした。皆それなりに面白いのだが、
“それなり”なんだよなぁ…と言う感じ。 町人を主人公としたものと武家を題材にしたものと混ざっているのだが、味わいが統一されておらず混乱した。 別に必ずしも統一するべきとは言わないし作品集を目的として書かれた訳ではないだろうから、アレコレ入っていて当然かも 知れないが、完成度までバラバラでは良くは無かろう。 個人的に興味を持って読んだのは広重を扱った「旅の誘い」で、特に「木曾街道」の連作を英泉から引き継ぐ辺りの 事情が書かれていたのが良かった。以前に千葉市美術館でこの連作を観ただけに思い込みが強いのかもしれないが。 ちなみに藤沢作品にはこの作品中でも言及されている蒲原について北斎の側から書いたものも有り、もしかしたら いつかは長編を…なんて構想を練られていたのではないか、と愚考しているのですが? |
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それなりに楽しく読んだのですが、解説が蛇足…というか、足だけじゃなく羽まで描いています。 物語は馬の骨と呼ばれる秘太刀の使い手の探索が経糸の一つなのですが、その使い手の正体について解説者は一人の人物を指しています。 しかし具体的に名前などを明記するのではなく思わせぶりなだけですし、根拠をまるで書いていません。ただへらへら笑っているだけ。 その人物ではあるまいと思うモノからするとフザケタ話で不愉快にすらなりました。 まぁ僕がこの解説者が嫌いなだけかもしれませんがね、しかし最悪になっちまった…残念だなぁ。 |
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初期短編集だそうで、とにかく陰気臭いコト夥しい。ただ社会主義リアリズム風にメソメソウジウジして
いないのでハードボイルド作品を読んでいるような気分させられます(でも違うんだろうな、こんな感想は)。 作者自身の鬱屈した気分が反映されている気がするのですが、どうなんでしょう? 表題作以外の4作品は“やくざ物”とでも言いたくなるジャンルで殺伐とした江戸の街が怖いです。なんだか 時代劇や落語で憧れていた街の暗部を見せられた気がしました。 面白いんですけどね、ただ読後感は荒涼としている気が…。 【蛇足】 僕の出身地である鎌ヶ谷(当時は釜ヶ谷)が出て来たのには驚きました。浮世絵などで街道筋を 辿り見付けては喜んでいたのですが、こうして小説で出会うとまた別ですね。 ちなみに扱いは“ど田舎”としてでした。そのマンマだなぁ。 |
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最初に書いてしまうと収録された4作は全てタイトルに場所と時刻が付いています。そしてその全てが作中の山場です。
つまり読者は予めクライマックスを教えられており、読み進むうちにジワジワとそこに近づいていくのが判る趣向になって
います。もちん作品の流れでも感じられるのですが、具体的に明示されていると締め付けられるような緊張感に襲われます。 いやぁ、今までに無かった興奮でした。 4作のどれもが面白かったのですが、共通して言えるのは脇役が鮮やかに印象に残った、というコトでしょうか。以下に既読の 諸兄へ話しかけるつもりでまとめてみます。 「麦屋町」では藩随一の遣い手であり、奇行の人として知られる弓削伝八郎。主人公を付け狙うであろう災厄のような存在として 描かれるのだろうと思いきや、無茶苦茶な狂犬ではない辺り泣けてきました。 「三ノ丸」では実は男勝りの怪力の持ち主である茂登。なにが良いといって相談事の件に惚れました。 「山姥橋」では特に一人とは選び辛い程ですが、蚤取りとも仇名される大目付の小出徳兵衛は伊藤雄之助以外に無いのではないかしら? 黒澤明『椿三十郎』のアレで是非。 「榎屋敷」の小谷三樹之丞には男の純情のようなものも感じられて好ましいのですが、刺客として登場する岡田十内も印象に 強く残りました。なにより主人公と斬り合う前の発言が人物に厚みを与えていて良いんですよね。 |
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藤沢周平before藤沢周平とでも言うべき作品集。つまり我々の知る藤沢周平以前の作品群で、なるほどなぁと。 初めのうちは当然でしょうが見よう見まねとしか言いようの無いものから自身の辛さを吐き出すべく書いたであろうものまで、アレコレ読めます。 まぁあまり楽しくはないんですがね。 個人的には「上意討」が仕掛けとして面白いと思いました。勝手な話ですが後年書き直したものが読みたいものですが…無理な願いですね。 |
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偶然同じ飲み屋の常連になった四人の男たちが、それぞれの事情からある犯罪計画に引きずり込まれていく。 彼らを誘い込んだ男は凄腕で、犯行は成功したかに思えたが…と言うお話。 コレを原作に現代劇も可能だな…と思いつつ読んだのですが、自分の思い違いに気が付きました。 考えたらなんら斬新ではないんですよね。もちろん先が読めてつまらないなどと言うコトはなく、面白いのですが。 いやむしろ非常に面白い。 展開に奇をてらったところが無いだけに(しかし充分にサスペンスとしても楽しめる)、人物描写などがシッカリしていないと トンだ駄作になるところですが、本作はソレがキチンとしています。故に安心して読めます。 原作にして現代劇を、という考えが間違いだとしたのはコレが理由です。 別に現代劇だから不適というのではなく、主眼が犯罪計画その他にズレる危険性が有るから改変はすべきではない、 と思ったんですよね。やるのなら映画かなぁ、黒澤明ばりの演出で。 |
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悪くは無いけどやはり初期の作品は辛い。 町人モノは(社会派リアリズムという用語が正しいかは判りませんが、その臭いがプンプンして)コレでもかと陰気な気分に させられます。そして暗いだけで救いが無い…別に無くても良いんですが、そういう時期の作品だと知らないで読むと陰惨な 気分にさせられます。 武家モノも収録されていますが、コチラは娯楽性の欠片が見られます。ただしまだ充分にこなれていないので食い足りない 気分にさせられたりもします。 文庫で適当にパラパラと読み漁るのも楽しいのですが、発表順に纏められた全集で変貌していく様を味わえたら違った 楽しさがあるかなと思わせられました。もっとも編集が難しいでしょうけどね、長期に渡る連作なんか入ってたりしたら。 |
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あくまで個人的な印象ですが、地べたに這い蹲り思うに任せぬ世間を糾弾していた氏が、泣き疲れて落ち着き
やがて周囲に目を向けるようになる…作家としてそのように変化していく様子を見ていくような短編集でした。 登場人物の運命が過酷なのは同じですが、描き方が変わったというか語り口が変わったというか…同じか? 対比すると「潮田伝五郎置文」の苦味と「遠方より来る」の苦味の違いが最たるもので、前者は技巧としても 鮮やかな小説だとは思いますが、美味さが目立ちやや辛い。後者はユーモラスな印象が強く(この辺りは山本周五郎と 似た味わいかとも?)誤魔化されそうですが、そこはかとない寂しさと秋の涼しさのようなものが有り受け取りように よってはかなり苦いんじゃないかと。 いずれにせよ発表順に読めたのは幸いでした。 |
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うーむ、相変わらず苦ぇなぁと思いつつ読了しました。 でもなんか違うかな?とも思ったのですが、全体的にスケッチ的と言うか凄みに欠けるというか。 ただ解説で言われているように“多彩”なのは確かで、こんな作品も、あんな作品もとは楽しめました。 |
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なんとなく短編集というよりは素材集に思えてしまった。長編か、むしろ他の作家の筆で読んでみたいと思わせられるような、
ちょっと惜しい気分だった。 もちろん悪くは無いのだが。 |
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確かに面白いのですが、チョイと不満が残りました。 まず主人公の藩の政争と赤穂浪士事件とを同時に解決させるのはどうか?発表当時の事情も有ったのかも知れませんが むしろ主人公の脱藩事情の方は放置しといた方が良かったんじゃないかと思いました。 また赤穂浪士事件の方も、扱いの大きさが微妙な気がします。 たまたま縁が有り時々事件の当事者たちに関係してしまった…という主人公の視点から事件を描くのか、それとも主人公の 生きた時代の背景としての扱いに留めるのか?ドチラか決めかねたんですかね。 【蛇足】 樋口清之『逆・日本史』を楽しく読んだ人間としては本作での大石内蔵之助の描写は説得力が有り、かつ魅力的ですらありました。 最初から最後まで「討ち入りだ、仕返しだ」なんてウソ臭いと言うか、ちょいとなぁ? |
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【関連作品】 芥川竜之介 『或日の大石内蔵之助』 →討ち入りを無事済ませ、身柄を細川家に預けられている大石内蔵之助の、或る一日を描いています。 義挙だナンだと世間が褒めてくれている…というコトを喜んでいる仲間への違和感のようなモノが出ており、本作の人物像と 併せて読むと面白いかと? 『用心棒日月抄孤剣』 |
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いやぁ皆さん褒めてらっしゃいますが、ホントかよ?と。 もちろん藤沢周平そのものを否定するつもりはないし(むしろファンと言えるのですが)、素晴らしい作品も多いと 思うのですが少なくとも本シリーズはどうなのよ? 主人公の用心棒家業の背景に、赤穂浪士の討ち入り事件と主人公の藩の政争を同時進行させつつ描いた前作は 全体的に纏まりに欠けて薄ぼんやりしていたのですが、本作は更に酷いと思いました。 出だしは期待させるんですけどね。 藩の存亡を賭けた書類を持って逃亡した男の探索を命じられた主人公は、脱藩者に偽装して江戸へ戻る。しかし 政争の中でのことなので後ろ盾の中老からは資金援助が得られない。そこで再び用心棒になり…ってのは面白いと 思いますが、如何せん設定が生きていないのではないか。また生活に追われているだけに探索に力が入らず、 むしろソチラは他人任せ。 難点を挙げればキリが無いのですが、少なくとも個々の用心棒譚に関しては前作の方が纏まっていたと思います。 |
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【関連作品】 『用心棒日月抄』 |
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正直言って前作同様に僕の評価は低いのですが、世間的にはどうなのか知らん?連作短編集というよりはブツギリの
長編という感じで、間延びしている気すらしました。 ただ一つ面白く感じたのは作者の変態振りで、このシリーズを前後して作風が明るくなったという解説(本書のものではない)が リアルに判りました。語り口が軽くなっているんですよね。一作目の頃から多少は感じられていましたが、本策では特にオチが 付いているモノなどもあり変わったなぁと感じました。 ただなぁ、世間的な評価が高いのは納得がいかないんですよねぇ…コレが代表作だ、最高傑作だと言われて読んで拍子抜けした ヒトって居ないと良いのですが?大きなお世話ですが。 |
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前作までの3冊に比べれば読み易いのは確かです、すっきりと長編にしているので。ただし長編として読むと
ややダルい気がしなくも無い。テンポが悪いというか、本来の氏の作風なら次の章では場面が変わっていると思いつつ
ページをめくると続いていて驚く…というコトの繰り返し。 全体としてナンとなく乗り切れませんでした。 作中で重要な鍵となる生類憐れみの令についても、俗に信じられているような悪法ではなかったという解釈が なされつつあると聞いてしまっては尚更ねぇ? 前作までの登場人物たちが自分を追い越して老いているのは切ないのですが、それだけかなぁ。 |
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解説に言われるまでも無く「成る程、大江戸ハードボイルド」ってな感じの長編です。かつては凄腕の岡っ引だった主人公が、
恩人に頼まれて人探しをしているうちに事件に巻き込まれていく…と言うとイカニモでしょ? 本書はそのイカニモなハードボイルド的世界を、江戸の街に舞台を置き換えて展開しています。 で、感想は…作者にとって新しい挑戦だったらしく、むしろ主人公より作者の方が暗中模索な印象を受けました。 もちろん手練れの藤沢周平ですからそれなり以上の出来なのですが、藤沢周平の域には達していないというか…もう少し 削り込んだ方が良かったんじゃないか?と思いました。ちょいと長い気がするんですよね、贅肉はついていないものの。 特に体術を使っての格闘シーンは、圧倒的な迫力を持つ剣術描写に比べるとまだまだなんじゃないか知らん。 ただ続きが気になるのも確かです。 |
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面白いとは思うんですが、なんとなく頑張ってしまっている気がしなくも有りませんでした。普段の作品ではもっと横綱相撲ではありませんが、
どっしりと構えて読者をゆっくりと包みこんでいくような気がするのですが? ハードボイルドというのはともかく、書き慣れていないミステリーに気負っているように思えるんですよね、仕掛けが大き過ぎるのも個人的には 少しなぁ。 |
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ミステリーを特に好んで読む方ではないので本作の仕掛けはどうなのか、犯人探しをしつつ読む楽しさは充分か、というのは判りません。
まぁそういう意外性には欠けているように個人的には思うのですが。 しかしさすがにシリーズ三作目ともなると読者としても脇役と顔馴染みになりますよね、しかも彼らにもちょいとした印象的な役割が 与えられていたりしてサービスして貰ったような気分です。そういう楽しさは捨てがたいですね。 もっとも僕が楽しみにしているのは、街の景色が浮世絵(色彩の鮮やかさは巴水ですが)を見るように浮かぶ描写や、食べ物についての記述です。 現物を前にしたら美味しいとは限らないようなモノですら食べたくなるのだから恐ろしくも有ります。 |
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創作に選択は付き物であり、二兎を追うもの…の諺は洋の東西を問わない筈。本作はまさにその典型で、結論として
ナニが言いたいのか判らないまま終わってしまっている。なんだか全てを細かく描こうとして、塵を積んで山を作っただけのよう。 カージャック事件から発展した誘拐事件を追う刑事とスクープを追う女性新聞記者を、む各章毎に交互に主軸として物語を 展開させています。しかしコレが諸悪の根源で、スリラーとしてならいざ知らず様々なテーマを扱うには接眼的で、全体が 見渡し辛い。いっそのコトもっと多数の登場人物を主軸にした方が物語に厚みが出たろうし、判り易く即ち訴える力が有った と思うんだけどなぁ。 部分的には印象的な場面やエピソードも有るので勿体無いと言うのが感想です。 著者は大学で創作の教師をしているそうですが、作品は反面教師ですかね(下手な皮肉だなぁ)。 |
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【関連作品】 『フリーダムランド』監督ジョー・ロス2005年アメリカ |
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読み始めはなんだか思っていたのと違いどうなることかと思ったのですが、しばらくするとペースになれました。もっとも作者を信頼しているので
特別に不安にもなりませんでしたが。 ミステリーと言えば言えるでしょうが、むしろそういう要素を含んだ…と言うべきで、テーマとしては支配的な父親と息子とでも言うべきでしょうか。 それにしても最初の印象がムチャクチャ悪い敵役ですら、最後は哀れに思わせられるのだから筆力は素晴らしい…と言うか、僕が老けたのかな? |
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さすがディック・フランシス!という感じです。折り目正しいとでも言いましょうか。 開館劈頭の見事さと、主人公(と言うか、今回は従兄ですが)に災厄が降りかかる導入部。そして徐々に現れてくる疑惑…と展開はじっくりと 進みます。終盤には主人公が手の内を隠して“一発勝負”に出るのですが、この辺りはミステリーのお楽しみの一つであろう作者との真相暴きの 知恵比べでもあり、冒険小説ならではの俺ならどうする?な臨場感も有ります。 前半の展開がゆっくりと進むおかげで自立した主人公の人柄や魅力的なわき役たちに馴染めるのもナニヨリ。 解説に一つ付き合うなら本作には色々な夫婦の姿が出て来ます。ただなぁ、主人公が渦中に飛び込むきっかけとなった従兄夫婦は少し理想的 過ぎないか…いや、既婚者としては地雷を踏みそうな発言ですが。 |
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子供向けにしては難しく思えたのだが、発表当時としては普通だったのだろうか? むしろ幼少時の感受性を失った世代こそ適している気がしました。そう言っても大人と言う訳ではなく 中学生以上かもしれませんが。 どれも短いので時々読み返してみると良いかもしれません。子どもと遊ぶ前とか、子どもがいらっしゃる 方とかにお勧めかも? |
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学生時代にシェイクスピアやギリシャ悲劇などはかじりましたが、基本的に戯曲は苦手で敬遠していました。 そんな僕が本書を手に取ったのは“ご期待下さい”と言わんばかりの紹介文に挑発されたからで、ならば読んでみるべぇか?と思ったからでした。 で、結論を言うと成る程面白い! 確かに基本的には昔の作品ですが構成は文句無しですし、半分ナメていたドンデン返しも、そう来たか!と。本当にビックリさせられました…色々な意味で。 話が転がり出す前から引き込まれて読んでいたので、僕には合っていたようです。 |
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個人的には大いに楽しめましたが、万人向けかというと疑問です。いやもっと否定的かな。一番のポイントは
個性の強い主人公と付き合えるか否か。合わないヒトには粗ばかり目立って不快なんじゃないか知らん。 裏表紙の粗筋紹介から適当にスルスルと外れながら進んでいく辺りは嬉しい“裏切り”でした。また物語の中心となった 事件そのもののと無関係な(多分映画化されたら真っ先に削除されるだろう)エピソードにより、説得力と現実味を 増しています。この辺りが個人的には非常に好みなんですけどね、セッカチに読もうとすると邪魔なんだろうなぁ。 誰かにお勧めしたいけど、誰に勧めて良いか迷う作品では有りました。 |
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タイトルは読者に対してなんですかね、作者に復讐されるような恨みを買った覚えは無いんですけど。 それはともかく。 とにかく寂しい…の一語に尽きました、あぁこれがあのフリーマントルの成れの果てか?と。とにかく長い、 そしてダルい。意外な展開がまるで無く読みながらソレを期待するコトすら出来ない。 ラスト近くに多少、かつての切れの片鱗が見られますがそれも残照に過ぎません。新作を読むなら旧作を 読み返した方が幸せなんだろうなぁ、寂しい限りですが。 |
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著者はこの事件について10年の歳月をかけて調査したそうだが、果たして10年もナニに費やしてきたのか疑問。
イヤハートについてある程度以上知っている方ならば珍説の一つとして良いでしょうが? 冒頭にアレコレと自讃している割に参考史料・文献についての記述はほとんど無いのは何故か?「真実」と謳っている のに学士論文ですら通らない程度の裏付けの無さには呆れるばかり。百歩譲って読み物として捉えても最悪で、イヤハートの 人柄や時代の雰囲気はまるで伝わらず、調査していく過程もなし。 読み終わって残る印象は、著者にとってアメリカ人は善良無垢なる存在で、日本人は狡賢く残虐な畜生どもだ…という ばかり。バカバカしいの一語に尽きる。 |
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藤沢周平の『用心棒日月抄』を読んでいる時に、偶然本書の生類憐れみの法の辺りを読みました。以前から
「なにが忠臣蔵だよ」と反発していたので『用心棒…』も実は微妙でしたが、物語の核心に触れる同法についての
件は膝を打つ思いでした。(既に知られていることのようですが)戦国時代の殺伐とした世相を落ち着かせた効果が有り、
更に刑罰も言われている程に苛酷かつ多数ではないとか? それだけに探して買った本書ですが、全体としてはイマイチデシタ。 江戸時代といっても250年から有り一口に言うのはいかがなものか?またネタが雑多に散らかっている気がして 食い足りないというか…ま、僕の趣味とは違うと言うコトだけかも知れませんが。 |
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情報小説というジャンルの開拓者にして、まさに職人とでも言うべき作者らしい卒のない仕上がり。 ただしソレ以上でも以下でもありません。 冒頭の航空機事故のエピソードで登場人物だけでなくテレビ局の構成まで紹介してしまう辺り、さすがです。 キャラクターも、その人間関係もやや類型化されており新鮮さには欠けますが逆に頭に入り易いのも確かで、 読み進める邪魔になりません。またいきなり事件に行かずシッカリと準備が成されから入るのも手際が良く、 安心して任せられます。 ただ個々の情報は面白いのですが、小説全体の構造は非常に退屈です。いや面白く読めるのですが伏線は 全て見え見え、展開はお約束…まぁ元から期待する方が間違いなんですがね。 気になったのはFBIその他捜査機関がまるで機能していないコト。いくらそういう作品とは言え冷遇し 過ぎじゃないかしらん? また人質になった親子のアメリカ万歳的なところが…まぁコレも仕方ないか、作者自身アメリカ人だろうし (カナダじゃないよね?)。 ところで上巻329ページで「北京ダックに箸を伸ばす」と有りますが、アレって手じゃないと食べ辛いですよね? 我々の知る北京ダックとは別物なのかしらん、まさか画竜点睛を欠くとは思えないし…手で食べるのは僕だけだったりして。 |
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ガキの頃から詩を理解出来なかった僕にとって本書は少々“若い”ですね、悪くはないしイメージが豊富では有りますが
個人的にはもう少し汗臭い方が好みなので。 ただ「枯葉」と「はたご屋『ねこ』」は面白く、早世した作者がもう少しでも長生きしていたらと思いました。 |
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群像劇なので時に人物関係が判り辛く、個々の登場人物に関して印象がマチマチだったりするのが惜しい。
もっと紙数が有れば…と残念。 それでも充分に面白く、ラストシーンは特に印象深い。社会に対する憤りのようなモノが感じられ黒澤明の 作品(の一部)を観ているような興奮を覚えた。皆さんにもお奨めしたいけど絶版だろうなぁコレ? |
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当時の沖縄の様子を非常に興味深く読みました。宮廷などではその背後で幕府との板挟みでかなりの苦悩していた筈ですが、まぁ下々のモノとしては
楽しいイベントでしょうからね。 また前半の朝鮮と比べるとコチラの出方で相手も変わるのだと言う人付き合いの基本を見せられたように思います。いや民族性云々はしませんよ。 【余談】 原題ではKoreaではなくCoreaとあり、僕の誤記ではありません。 共催したサッカーのW杯で国名を日本より前にしろと言い張った根拠について「中国に遠慮して変更したが本来のスペルはKではなくCであり、 日本のJより前であるべきだ」ってのが有ったそうですが確かにね。でもさぁ、今の名前がそうなんだし自分の考えで変えたならコッチに押し付けるなよ?と… まぁ済んだコトですけどね(←根に持つタイプ)。 |
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【関連作品】 幕末に来日した外国使節の記録としては以下のモノが有ります…って、僕の読んだだけですが。 『日本幽囚記』W.M.ゴロヴニン:当然ながら楽しく思われなかったであろう記録です。 『大君の都』オールコック:無知な学生時代に無理をして読んだのでロクに判らなかったのですが、とにかく見下して書いています。浮世絵を 原始的な云々しているのには当時もコンチクショーと思いましたが、今にして思えば錦絵ではなかったのかもしれないなぁと。 |
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読み進めるうちに誰にも触れさせなかった登場人物の過去の謎が明らかになる…という構成は娯楽、ミステリーとしての興味を
惹きますし、力強くも悲しく切ない展開には胸をうたれます。ただし没頭を強いられるのでそれなりに余裕が無いとシンドイですが。 また文体が読み辛いのがなんとも?おかげでスッキリせず勿体無いコトしきりと言うのが読後の感想とは、やはり勿体無い。 |
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ショートショートが代名詞の作家だけに歴史小説?と首を傾げつつ好奇心で読みました…が、コレが良かった。面白かった。 汗や体臭、総じて生活臭の感じられない文体なのでどうかと思ったのですが、フワフワと生きたような(というと語弊は有る でしょうが個人的には印象が薄いのです)豊臣秀頼を描くにはピッタリでした。物語の進行も具体的な年代ではなく秀頼が 何歳の時…としてのも効果的で、フワフワとした現実味に欠ける大阪城内での暮らしや現実や政治への認識の甘さがリアルに 漂ってきます。 ちなみに本書は短編集で他に4編入っているのですが、ドレも長過ぎるショートショートのようでもあり、表題作がやはり 一番かと思います。ただし実在の人物を扱った『正雪と弟子』のはめ込み方と『はんぱもの維新』の人物評は大上段に構えた 歴史小説家には書き得ないスタンスで面白いんですけどね。 |
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氏が収集したアメリカのひとコマ漫画を大別して纏めたモノだが、全体的に時代を感じさせて良い。氏のショートショートと同じく
時事ネタなどは無いのだが、ナンとなく今よりはのどかな雰囲気がして楽しかった。 またそれらの作品を見返しながら、浮かんできた考えが書かれているのだが話しかけられているような、深夜に他人の書斎に入り込み 主人の思考を覗いているような不思議な楽しさが有る。 ただその文章だが、雑誌連載後に出版されたものの、その後再版などをするうちに削られた掲載作品があるそうで、それらを紹介 している部分が多い。気持ちは判るが、コレは不要だったのではないか?言葉で紹介されてもなぁ…と思うのだが。 |
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中学時代に熱中して読んだのですが、かなり久々に再読してみました。 昔の小説を読む楽しみの一つに古さを味わう、と言うのが有ります。特にSFなどは“現在”とは違う未来像が面白いのですが、 氏の作品の場合まるで逆でした。具体的な情報や時事ネタを廃し、特定のイメージを与えないことで古びないようにしていた… と創作の姿勢を読んだように覚えていますが、ソレが妙に作用した感じでした。 何時までも古びないと言うよりも、最初から古い…ではなく、味わいが昔話のような不思議な感じ。身近では有るがリアルでは ない、と言うか未知の異国の話のようでよく知っている街のような? とにかく今から初読でも楽しい時間が過ごせます。でも思っていたより大人向けなんだなぁ。 |
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世間で言う星新一、ショートショートというイメージとはやや違う作品が多くて意外でした。もっとも「あとがき」によるとかなり初期の
作品ばかりと言うのでそれも当然かなと思いました。試行錯誤と言うか、スタイルが出来上がる以前のモノなのだなと。 ショートショートと言うより短編小説と言うものや、詩のように美しいものまでいろいろと楽しめます。むしろ星新一という名前に先入観の 無い世代には楽しいかもしれません。 |
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勝手にSFのヒトと思い込んでいたのですが、読み返してみるとそうでもないですね。なんとなく
意外でした。 確かに未来や宇宙空間が舞台だったり(珍)発明に関するモノが有りますが、ソレばかりではないし 身近に感じられる描写です。もっとも面白く思った作品はソチラではなかったのですが。 むしろ一貫したテーマは人間やその心理ではないかと愚考した次第。具体的にドレが面白かったかと 細かく書きたいところですが、煩雑なので省略。旅のお供にお薦めです、とだけ。 |
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