| あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 | は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
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| ま | み | む | め | も |
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マキャベリ マキューアン マクリーン マコート 松井今朝子 松本清張 |
ミステリー文学資料館 水上勉 三宅泰雄 宮部みゆき A・A・ミルン |
村山知義 |
メリメ |
モーム 森荘已池 |
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どう言って良いのか判りませんが、「読んだ」と言える作品でした。多分まどろっこしいと言う人も多いんだろうなぁと
思わなくも無いのですが。 アチコチで途中でオチが判るとか言われおり、確かにミステリーとしてはその辺り鮮やかさに欠けていると言うべきなんでしょうが、 そういうタイプの作品ではありません。むしろそうやって先を考えるのではなく、今現在のページを楽しむ方が合っているのでは 無いでしょうか? もっともミステリー馴れしていない僕にとっては、上手くオチをつけられてしまったのですが。 主人公の一人は作曲家で、その為に音楽用語が多用されています。音楽についてまるで知識の無い僕ですらナントナク判る気が するのですから、少しでも知識の有る方なら更にリアルに楽しめるのではないか知らん。 ケチをつけるとしたら時々訳文がこなれていないのが鼻につくコトで、やや文体としてギクシャクする印象が残ったのが惜しい。 もちろん原文を読んでいないし(理解出来ない)僕が言うのもおかしな話ですが、それでも擦れる不快感は否定出来ないのですが。 また往年の訳文に比べて注釈が無いなぁと思っていたら、あとがきによると「判らない」からなんだそうで、ガックリと来ます。 |
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【関連作品】 『Jの悲劇』原作イアン・マキューアン |
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正直サービスのし過ぎで感覚が麻痺してしまうのが惜しい…というか、逆効果。どんでん返しは「ここぞ!」という場面で
行われるから決まった時に気持ち良いのであって本作ではマンネリと言いたくなるほど。もう少しダレ場を用意してあれば
緊張感も持続して良かったのになぁ。 人物描写などは省略されていますが、映像ならまだしも小説でコレは辛い。他の作品でもなんだか主人公と知り合えない 隔靴掻痒な気分のまま読んだ記憶が有りますが、コレってこの作者の特徴なのか知らん? 冒険小説の大御所として名の通った方ですが、僕の趣味では無いらしい…です。 |
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登場人物の背景が少なく“往年の”冒険小説という印象が強い。面白いんですけどね、食い足りないのは
コチラの嗜好が捩れた所為かとも思いますが。もっとアレコレと描き込んであれば乗れたんでしょうが
ちょいと冷めた感じで読んでしまった自分が残念。 ただ映画の脚本としてはお釣りが来るかと思われます。ウォルター・ヒル監督なんかで如何でしょう? 骨太で硬派な西部劇が期待出来そうなんですが…無理だろうなぁ。 |
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面白いと言えば面白いのですが、ちょいとシンドかったのも確かでした。 回想録なのにその当時の一人称(つまり現在の自分が8歳の時の記憶を書くのではなく、8歳の自分が8歳としての現在を 語る…というパターン)というのは目新しく非常に印象的なのですが、なんか成長しないのがなぁ? 例えば15歳ならもう少し大人じゃないか、なんて思ったりして。まぁ人それぞれですが。 ところで本書はアメリカ生まれのフランク少年が成長して再びアメリカの土を踏むまでの、主にアイルランドでの 貧乏暮らしを描いているのですが、コレだけではタイトルの意味は判りません。またなんとなく食い足りないんです。 続編が有るのだと思えばこそ納得しますが、最初はコレだけでベストセラーになったのか…と不思議に思えなくもない ですね。 ま、はるか以前にCBSで著者を紹介したリポートを観ているので、「灰」がナニを意味するのかなどは知っている つもりなのですが、果たして正しいか否か?個人的にはそのリポートの方が面白かったんですけどね。 |
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全盛期に忽然と姿を消した花魁葛城について関係者が語るのを縦糸に、吉原について細かく紹介されています。この構成が巧みで、なるほど選考委員も
直木賞をあげたくなるだろうなぁ…というのは穿ち過ぎでしょうが。賞のコトはよく知らないしね。 前者はタブーを聞き出そうとする聞き手の探索と神隠しの真相が興味深いミステリーですが(密室トリックの類はなく作者はあっさりと手の内を見せています)、 一番の魅力は葛城のキャラクターでしょう。エピソードの一つ一つが良い。 後者は落語や映画、小説などではお馴染みである吉原の裏事情が読めて面白い。特に何故そこに「落ちた」のかを語る前半の登場人物たちの語りは 独立した作品になりそうで、贅沢な限り。 …とまぁ誉め始めると切りが無くなりますが、絶賛は他の方に任せるとしてへそ曲がりらしく不満を以下。 いきなり残念なのは一人目の語り手に解説させ過ぎているコトで、博物館の展示解説を読む煩わしさ。先頭打者に初球ホームランをくらって先制された 気分で、いきなり割り引いてしまいました。個人的にはプロローグとして、吉原の大門を潜るまでの案内役が居てくれればなぁと。歌舞伎で言えば花道を 通ってユルユルと、ですかね。映画ならタイトル前に…諄いか。 文句は言いつつ楽しんで読めたのは確か。久々に他の作品が読みたい作家を見付けました。 |
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計画的な犯行を描いた作品もあるが、むしろ偶発的なモノの方が面白かった。例えば表題作である「カルネアデスの舟板」よりカバーでのみ
表題作になっている「喪失」のように。または「発作」のような。 ただ全体として意地が悪いような印象を受けるのはなぜか知らん? 以前に東京新聞の夕刊で作者を紹介する連載を読んだのだが、それの印象がすこぶる悪かったのも当然影響しているのでしょうが? |
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それほど推理小説や探偵小説が好きな訳ではないのですが、“時代を読む”というつもりで復刻版の類を
よく読んでいます。 本書も同様で、更に名前は知っているけれど特別作品集を買って読む程の興味は無い作家の作品がアレコレと 楽しめるので重宝(と言うのか?)しています。 角田喜久雄「蛇男」夢野久作「木魂(すだま)」海野十三「不思議なる空間断層」などを堪能しました。 ただこれらは探偵小説なのかどうか…「木魂」なんか探偵どころか捜査機関の類すら出て来ないので、 謎解き作品集を期待するとハズレではないかと思われます。 |
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ホントに傑作選なのかね?と思う品揃えで、特に全ページ数の6割近くを占める長編にいたっては頭デッカチの
同人誌だってもっとマシだろうと思えた程でした。期待の海野十三は創作メモのようだし、コレで傑作ならば
他は推して知るべしかと? ただし全て下らないかと言うとそうではなく、『柿の木』は二十歳前後の女性の作とは思えない面白さですし (探偵モノかと言うと大いに疑問ですが)、サゲを工夫してパタパタと完成させる作品も有り。なにより連作は バトンが引き継がれる度に構成がドンドン崩壊していく様が見ものです…性格が悪いなぁ。 いずれにせよ買って読む程ではないのではないか?と言う営業妨害的な締め括りをせざるを得ないんですが。 |
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「雁の寺」は屈折した人間の心理を描く文学作品であろうと読み始めたら、最後はいきなりミステリーになって終わり…しかし始まりの不気味さは残ります。
まぁ全体にヌメヌメとしたそれでいて干からびたような怖さが漂っているのですが。 覗きこみたい登場人物の内面について作者は別の視点から観察しているだけなのですが、解説によると作者にとって生々し過ぎたからではないかというの ですがね。確かにドロドロし過ぎているのもなぁ。 「越前竹人形」は泣かせるが今時はウケないかしらん?大正時代が舞台だからといって過去の話とは限らないんだがなぁ…現代版にも脚色出来ようし、 なにより悪い奴ほどよく眠るのは昔の話では有りますまい(その映画が既に昭和なのですが)。 それにしても情景描写の見事さや台詞の珍しさは楽しく、ちょっとした(外国)旅行をしている気分ですね…国内だけど。 |
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京都のお寺さんの“内幕モノ”ってんでもっとアザトイどろどろした内容を想像していたのですが
意外にも美しいのでビックリしました。内容は色と欲の絡んだ酷い話なんですが、生臭くないのは
描写によるのでしょう。シッカリとした美しい情景描写と抑制された演出(というと映画みたいですが)が
素っ気無いくらいに淡々とした作品に緊張感をもたらしています。 作品は今読むと(過去の話なので)宙ぶらりんな感じで終わるのですが、事件の顛末を描くと言うよりも 主人公家族の観察記として読めば一区切りかなと。 ちなみに偶然読み始める直前に銀閣寺の紹介を観たのですが、コレが大正解。もちろん舞台は銀閣寺では ないのですが、想像するのに多いに役に立ちました。 |
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良いのだがナンとも捉えどころの無い感じで、誰かに内容を聞かれたら説明に困ると思いますね。 金閣寺放火事件を題材にしているのは確かですが、果たしてそれがメインかと言うと違う気がします。確かに起承転結の“転”に当たる大きな事件ですが、 例え現実にそれが起きていなくても同じような展開になったんじゃないかしらん( もちろん同事件をきっかけに着想は得たのでしょうが)? またヒロインの夕子についても捉えどころの無いキャラクターであり、かつ作者が内面に踏み込まないので他の登場人物と同様に読者はヤキモキしたり するばかりです。 ただ登場人物たちの気持ちは皮膚感覚で伝わってきます。ラストは美し過ぎないのが美しい。やはり良い作品ですよね、今更僕の言うまでも無く。 個人的に残念なのは事件以降の流れを新聞記事の引用と言う形で描写している点で、それまでの淡い水彩画の味わいが急にゴチャゴチャした新聞の 切り抜き帳のように感じられて違和感を覚えました。まぁ他に手を考えつくかと言うと僕なんぞには無理ですが。 それにしても昔の紹介分は自己陶酔していないか?一読するに印象をまるで当てていない気がするのだが…。 |
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【関連作品】 『金閣寺』三島由紀夫:同じ金閣寺放火事件を扱っています。 |
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完全文系の僕ですがルネサンス的万能に対する憧れ(の残滓)で、たまにこの手の本が読みたくなります。 本書もそうして手に取った一冊。 期待に違わず読み易く面白かったです。科学史を辿る形で後進にエールを贈る語りは熱意を感じ、最後の「さようなら」には颯爽とした格好良さすら有ります。 惜しむらくは時に例が学業を離れて何万年も経たオッサンには難しく、自分を反省しました。 ただ誰が誰に向けてのモノかという解説が欲しいですね、調べれば著者は判りますが(化学者にして大学教授だそうです)。 |
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【関連作品】 この手の本で特に印象的だったのはファラデー『ろうそくの科学』でした。いや理系に走ろうかと思ったもの…しばらくして目が覚めましたが。 敢えて言うと本書も加えた中でもベストです。 |
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サラ金に関しては勉強し過ぎで鬱陶しい反面、野球に関しては無知も甚だしくバランスが悪い。
登場人物全てに関して言うと書き込みが甘い。総じて不満。 ※言葉遣いが他と比べてゾンザイですが、乗り気ではないのに断れず読んだ…という状況の反映です。 ただし不満であると言う評価は変わりません。 |
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寝床で読むには最適で、丁寧で判り易いのが素晴らしい。 パズル式で進めるのならコレくらいが僕にはちょうど良いですね、あまりにゲロゲロなのは面倒で。なんとなく作者の人柄のようなものも 感じられ、雰囲気って大切だなぁと。 |
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むしろ藤村の原作よりも面白かった。判り易いのは舞台の脚本であるからかもしれないが、しかし
受け取る側としてはむしろコチラに軍配をあげたい。登場人物も整理されているし。 ただしそうかと言って原作を読まないでコチラだけで充分かと言うとそうではなく、両方を読んで 初めて充分に思える気がします。僕としては…の話ですが。コチラだけでは不充分かも知れません。 そう考えると原作はかなり広く読まれていたんでしょうかね?少なくともこの劇団の観客程度には。 |
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【関連作品】 『夜明け前』島崎藤村 |
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地中海地方を旅行中の英国軍人とその娘が、仏国軍を退役してコルシカに帰郷しようとしている青年と知り合い交流を
深めます。やがて青年の故郷の村での再会を約して両者は別れますが、帰郷した彼を待っていたのは非業の死を遂げた父親との
復讐を求める周囲の圧力でした。 …などと簡単に粗筋を書いてしまうと古典的なロマンスでしかなく、かつ登場人物も古典的というか、いかにも19世紀的 (僕のイメージすると言う意味で)ですが、淡々と当時の小説を読むというだけの楽しみにならないのはコロンバの魅力 でしょう。 タイトルにもなっているこのコロンバという言葉ですが、主人公の妹の名前です。前述の通り主人公は明らかに兄だと 思うのですが、最後まで読み進めていくうちに納得。なるほどこの小説の最大の魅力は彼女であり、強烈な印象を残す登場人物 という意味ではカルメンと双璧ではないでしょうか? 個人的にはエピローグとも言える最終章が特に印象的で、素晴らしい!映像が目に浮かんでくるようです。映画化されて いないのか知らん? |
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今は亡き“偉大なる”小説家の“偉大なる”伝記を書かせたい未亡人とソレを書きたいスター作家が、二人の知らない
“偉大なる”作家の前半生を知る「わたし」に協力を求めてきた。二人が特に懸念しているのは前妻のロウジーの
コトのようで…ってなお話です。 珍しく内容紹介なんかしてみました。 訳者後書によると脂の乗り切った時期にのびのびと書かれた作品とのコトですが、僕としてはちょいと書き飛ばしかな?と。 面白い皮肉は随所に見られますし、発表当時は更に登場人物のモデルは誰かと話題になったそうですが、所詮その程度では ないかしらん。読み辛いんですよね、構成に気が利いていないので。 確かにロウジーの人物造形は見事で印象に残るヒロインではありますが、ならばもっと彼女を中心にしてくれても良かったの ではないかと思わなくもありません。まぁ今更言っても始まりませんが。 |
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【関連作品】 『人間の絆』 |
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本書を初めて読んだのは、まだ自分の可能性について妄想逞しかった大学時代でした。 前半はまるで自分のように薄気味悪く読み(共感と言うのではなく)、更にやることなすこと失敗する 後半では自分の将来を暗示されているようでした。更に主人公が最後に達する人生観に脱力し、毒気を 抜かれてしまったものでした。 まぁナニかに熱中し没頭するタイプではない、それゆえに大成は覚束ない人間だ…と僕自身のことを 悟らせてくれたとも言えますが。 さて今回、執筆時の作者と同年代になって読み返してみた訳ですが、更に自分に似ているのが恐ろしい。 無意識のうちに似たような性質になってしまったのか、主人公のグダグダぶりには鏡を見るようでゾッと しました。 最後の最後は僕とは少々異なりますが、さて書かれていない残りの人生を僕(と彼)はどう生きていくのか? 本書を読み終えて、初めて自分の足で歩き出すように思われました。 【追記】 ちなみにネットで他のヒトの感想を散見したのですが、純粋に小説として読み低い評価をつけているモノが 多々有りました。 ダラダラ長くて読み辛い云々がその主たる理由であり、確かにグダグダで山場もナニも有りません。 ただ本書は『坊ちゃん』や『舞姫』と同じ系統で、作者が自分の精神をスッキリさせる為に書いたのだと 思って読むと違った面白さが有るのだとは、言わせて頂きたい。 |
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【関連作品】 『お菓子と麦酒』 本書と同様に作者の少年時代を投影した人物が登場する作品です。同じ舞台も出てきますし。 自分の作品の為に他人を好き勝手に素材にする文筆家を皮肉る描写がドチラにも有るのですが、そういう モーム自身『月と六ペンス』でやっちゃってた気が…? |
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なんと言うか「悔し涙で墨を磨って書いた」という感じの一冊。以前に読みふけった司馬遼太郎『菜の花の沖』や
W.M.ゴロヴニン『日本幽囚記』などの事件の契機となった、ロシア人によるエトロフ襲撃事件でロシアの捕虜と
なった南部藩砲術師大村治五平の手記なのですが、イヤハヤナントモ…。 史料価値は認めますが、「解説」(むしろコチラが大部分を占めている)も合わせて南部藩や治五平の一方的な言い分であると 割り引いて読む必要が有るのでは無いでしょうか? |
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【関連作品】 『菜の花の沖』司馬遼太郎 『日本幽囚記』W.M.ゴロヴニン |
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